クロノマット, ナビタイマー, ...

時計のメンテナンスは必要?使い方の注意点は?気になる使用方法などに答えます

こんにちは、澤本です。
いつもブライトリング ブティック 京都のブログをご覧いただき、誠にありがとうございます。

前回は店頭にてご質問のある内容への回答で記事を作成しましたが、今回はそのご質問の中からアフター面やご購入後のことも含めてお答えしていきます。
最後までご覧いただけますと幸いです。

時計の使い方で気をつけることは?

複数注意点がありますが、細かく突き詰めすぎると使いづらくなる可能性がありますので、要点だけお伝えします。
実際、この要点を押さえていただくだけで、不具合に関するリスクを大きく軽減できます。

一つめは磁気です。
磁気というのは現代社会では日常至る所にあるにも関わらず、目には見えないという点があります。
目に見えない分、どうやって気をつけるかというと難しいですよね。

実際、使用している私の時計も若干ですが、磁気帯をしており少し遅れ気味になることもしばしば。
では、どのようなところから発生しているかというと、主に電子機器です。
一番日常で多く接するのが、一人一台は所有しているスマートフォンや携帯電話です。
このスマートフォンや携帯電話、パッと見た限りではわかりにくいですが、スピーカーの搭載やバイブレーションなど、磁力を発する磁石やコイルが使用されています。
こういったものから発せられている磁力が時計の精度に悪影響を及ぼすことがあります。
機械式時計ではテンプと呼ばれる時計の心臓でもある精度の調速機構部に影響が出て、日々の精度に遅れや進み、止まったりします。
一方、電池式(クオーツ式)や電波式時計などは、本体内部の針を動かす信号を放つ際に稼働するステップモータと呼ばれる箇所に影響がでることで、勝手に針がぐるぐると回ってしまいます。
これにより、表示している時間が知らない間に変わっていることや、時間が合わせなくなったり、止まったりします。

磁力を持ったものの周囲には磁界があり、この磁界の内部に磁力発生していますが、目に見えないからこそ気づきません。
(一般的に強力と言われるネオジム磁石で周囲5cmは強い磁界があります。)
そのため、電子機器や磁力をもったものと時計は密着させず10cmほどの距離を保っていただくことで、磁気の影響から時計を守っていただくことになります。

※ 当店でご購入のお客様はお持ちのお時計が磁気帯をしているかの確認、磁気抜きという作業を無料で承っております。

続いて、衝撃です。
時計は細かなパーツで組みあげられた精密機械となります。
一般的な電池式(クオーツ式)のアナログタイプ(針がついている)で約50~80個、機械式時計で約100以上のパーツとなります。
これが時計全部ではなく、時計本体の内部の機械の部分だけでの内容となります。
※ デジタル表記の電池式時計で約40個ほどと言われています。

細かなパーツから作られている分、強い衝撃が加わると不具合や故障の原因につながります。
例えば、針が外れることや、時間表示するインデックス(目盛)がとれること、内部の歯車部分の噛み合わせが悪くなることでの時間のズレや止まりという現象がおき、不具合や故障などにつながります。

衝撃に強い時計というのは、時計本体と時計を動かす心臓部である機械の部分の間に衝撃を緩和させるための補強がされていたりします。
そのため、内部の機械部分への負担が極端に減ります。

特に機械式時計になりますと、テンプと呼ばれるヒゲゼンマイがぐるぐると巻かれて往復運動する箇所が衝撃によって変形したり、絡まることで精度の乱れや止まりへとつながります。

ゴルフを趣味にされている方で、プレー中に使用してもいいかとご質問をいただきます。
ゴルフクラブを振ってインパクトが起こる際の衝撃が人によりますが約600キロ~1トンと言われています。
その衝撃が時計にも伝わると思っていただくとご理解いただけるのではないかと思います。
なので、そういった衝撃が予想される場面での使用をお控えいただくだけで、安全にご愛用いただけます。

そして、防水面についてです。
基本的に防水機能のある時計が主流になっており、その防水性能の高さは3気圧防水、100m防水、300m防水など様々です。
よく耳にするのは防水3気圧の時計は、雨や手を洗っている際に水が掛かる程度は問題ございません。
水に完全に浸かるとなると危ないので控えていただきたいですね。
その他の防水性能に関してはそれぞれ表記の水面からの深度以内でご利用していただければと思います。
1点注意点としては、10気圧防水と100m防水とでは少し意味合いが異なります。
気圧は水深10mにつき1気圧が腕時計に掛かります。
単純に計算すると100m潜ると腕時計には10気圧が掛かるということになりますが、実際に水中では手の動きなどがあるため、それ以上の負荷が腕時計に発生します。
10気圧とは気圧をかけた検査となるため、実質的な100mでの使用では推奨しかねる腕時計となります。
一方、100m防水の時計は水中の深度100mでの使用可能な時計です。
それはなぜかというと100mの潜水に加え、1.25倍の水圧に耐える耐圧性を兼ね備えた防水性能となります。
そのため、水中100mの環境下でも使用ができるということになります。
感覚としては、スキューバダイビングでご使用いただける機能性となり、それ以上になると飽和潜水用の防水性能が必要となるので、200m防水以上を推奨させていただきます。

どの防水性能を持った腕時計に共通していえることがあり、それは手や腕時計が濡れている状態でリューズや各機能を作動させるプッシュボタンは使用しないことです。
万一、操作をしてしまうと腕時計の内部に水分が入り、本体内の曇りや水没の原因となりますので、操作する際は必ず水分を拭き取ってからしていただくようにご注意ください。

そして、お風呂や温泉でのご利用はご遠慮いただきたいです。
理由としましては石鹸やシャンプー、お湯の成分などの影響により腕時計内部のパッキンの劣化が早まることが一つ、腕時計に使用している時計の素材によっては化学反応を起こして素材の劣化や変色をする可能性があります。
また、ステンレススチールの場合はさまざまな成分がステンレススチールの表面に付着した状態になることで、酸化皮膜を作ることができずに錆(サビ)の原因にもなるからです。
腕時計を長持ちさせるためにも、お風呂や温泉に入る際は外していただくことを推奨します。
海水などに入った場合は、水面よりあがったのちに真水で海水の塩素を綺麗に洗い流していただくことを推奨します。

自宅でできるお手入れ方法はある?

ございます。
ご自身でするとなると、専用工具が必要だったりする場合もございますが、ベルトの付け外しをしてお時計の洗浄などができます。
また、マイクロファイバー製のクロスなどで綺麗に汚れを拭き取ることや、綿棒などで細かな箇所の汚れをとるなどすることで、綺麗な状態でお時計をご利用いただけます。
ステンレススチール製の腕時計のイメージで”錆びない”という認識をされている方がいらっしゃるのですが、あくまでも”錆びにくい”素材がステンレススチールです。
先ほども記述しましたが、表面の汚れをとっていただくことで、ステンレススチール表面に酸化皮膜が形成され錆びに強くなるので、定期的な洗浄をしていただくことで、良い状態を維持していただけます。

お時計の素材もステンレスだけでなく、金(ゴールド)や銀(シルバー)、銅(ブロンズ)だけでなく、カーボンやセラミック、チタンなど様々なものがあります。
銀や銅は空気に触れているだけで酸化して表面のお色味が経年変化します。
綺麗にされたいという方は、研磨剤入りの布で腕時計を磨いていただくことで黒ずみやくすみがとれて綺麗な表面が現れます。
その逆に経年変化をお楽しみになりたいという方は、酸化をうまく活用してお好みの風合いでお楽しみください。
時々、ご質問があるのが金でも色が変わることがあるがなぜなのか?
それは18金のものが大半となりますが、その内部の成分は18金で75%が金、残りの25%は銀や銅が入っており、その銀や銅の成分が酸化して変色することになります。
変色を取るには、金製品専用のクロスで吹き上げていくだけで変色がとれて元の輝きを取り戻します。

機械式時計はずっと動かさないといけないの?

とまっても大丈夫です。
「機械式時計はとめたらダメ」「うごかなくなる」というお声をいただくことがございますが、現在ではとまっても基本的には大丈夫です。
なぜ、そういったご質問があるかというと、昔の時計は現在ほど時計のパーツに使用している潤滑油がよくなく、比較的早く乾燥してしまい、歯車の動きに支障をきたすことがあったことが一つの理由とされています。
現在の潤滑油はとてもよくできており、とまっていても固着することは少なくなっています。
ただし、潤滑油は年々乾いてしまうことは変わりなく、数年止めたままにしていると潤滑油が固着してしまう可能性があります。
そのため、定期的に数ヶ月に一度でも動かしていただくことを個人的にはおすすめしています。
先程ご案内した通りで、使用してもいなくても数年経てば潤滑油の乾燥はしますので、時計の精度への影響がでたり、早くとまるようになることは起きるので、より良い状態で使用するためには定期的なメンテナンス、オーバーホールを推奨しています。

時間が遅れるのはなぜ?

使用している状態であれば、電子機器や磁石を使用したカバンの金具などから発せられる磁気の影響による可能性があります。
磁気が時計についてしまうことがあり、それによって時計の心臓部であるテンプと言われる箇所にあるヒゲゼンマイという精度を司る箇所に影響をお越し、遅れる原因になります。(早くなることもあれば、止まることもあります)
また、時計を数年使用されていれば、潤滑油の乾燥や歯車同士が擦れ合った金属粉がたまり、歯車が順調に動かなくなったことにより遅れ始めることもあります。
それ以外では、衝撃によって起こる歯車の噛み合わせの以上や、テンプのヒゲゼンマイの変形が考えられます。

早く止まるのはなぜ?

こちらは時計が遅れる要因とつながることが多く、主ゼンマイと言われる動力源となる箇所から伝わる力が油切れなどによってうまく伝わらないことが一つの要因です。
順調に動く状態にかかるエネルギー量を「1」とした場合、油切れによって動きが悪くなった歯車を動かそうとした時に必要以上のエネルギーを使用し、動力源のエネルギー消費が増えるので早く止まるようになります。
また、それ以外ではクロノグラフ機構搭載モデルなどであれば、クロノグラフを使用していると時計を動かすための動力とクロノグラフを動かす動力をどちらも使用するため、一つの動力源から二つの機構を動作させるため早く止まる要素にもなります。
(その他の機能を持つ時計であれば、ミニッツリピーターやメモボックスなどもそれらにあたります。)
また、それ以外では磁気の影響によって止まってしまうという事例もございます。

メンテナンスサービスって何?

メンテナンスサービスは一般的にオーバーホールまでせずにできる修理を指します。
機械式時計では精度調整や不具合の調整、クオーツ式時計(電池式)では電池交換がメインとなります。
いずれも時計、ブレスレットの洗浄はもちろんのこと、防水検査やその他の機能の確認調整も行なってくれます。
オーバーホールとの違いは、腕時計を内部のムーブメントまで分解せずに性能状態を元に戻すことです。

オーバーホールって何?

まず、意味から申し上げますとオーバーホールとは英語の「Overhaul」が元となり、徹底的に点検するという意味を持ちます。
機械製品を部品単位まで分解して清掃・再組み立てを行い、新品時の性能状態に近づける作業を指します。
メンテナンスサービスでは解消できない作業が必要となった場合は、腕時計をムーブメント(機械)まで分解しないといけないので必要となります。

腕時計でも同様で、一つの腕時計を数百ものパーツまで分解し、一つ一つのパーツの汚れを取り、数種類もの潤滑油を使い分けて細部にさしながら組み立て、消耗したパーツに関しては交換を行い、精度や機能の調整を行います。
そのパーツは基本料金内で済むものもあれば、追加で必要になるものもありますので、ご希望の際はまずお見積もりでご依頼いただくことをおすすめします。
それにより、金額や納期だけでなく、不具合となる要素を理解した上でオーバーホールをうけていただくことができるからです。

余談ですが、定期的にオーバーホールを行うことで腕時計を良い状態で維持できることもあり、機械式時計は「一生使える時計」や「世代を超えて使える時計」といわれています。
また、クオーツ式時計(電池式)の時計でも数年に一度はオーバーホールが必要となります。
動力源が電池ではありますが、内部には歯車が存在しますので、機械式時計同様の作業を必要とすることがあります。

オーバーホールに出す目安とは?

複数ございますが、一つの目安が一般的にご購入から3~5年に一度が目安となっています。
年数が経ってくると内部の歯車同士が擦れあって摩耗し、その際にうまれる金属粉、年々乾燥してくる潤滑油に絡まって歯車の動きが悪くなることで、正しい力が動力源であるゼンマイから伝わりにくくなり、時計の精度が落ちてくることになります。
また、防水性能を維持するためのパッキンが年々硬化し、防水性能が薄れて水分が内部に入って錆につながることから防ぐためにも、それらを踏まえて定期的にオーバーホールをしていただくことで、長きにわたってご使用いただくためにも推奨しています。
(メーカーによって上記期間以上の時計もありますが、それらは内部の機構などで工夫がされているものとなります。)

ブライトリング完全自社開発製造キャリバーに関しては5~6年をメーカー推奨としています。

もう一つが時計の精度や機能面で不調を感じ始めたタイミングです。
時計が遅れたり、時計内部が水滴で曇ったり、クロノグラフの動作がうまくしないなどです。
ただし、ご自身で判断をしきるのは難しいということもあるかと思いますので、そういった際はお気軽にブライトリング ブティック 京都にご相談いただければと存じます。

困った時はどうすればいい?

まずは無闇に操作をせずにお持ちの時計の取扱店舗にご相談ください。
万一、誤った操作をされるとその時に行った不具合などが不透明になってしまい、状況把握が難しくなる場合があります。
また、さらに不具合が悪化してしまい修理が必要な要素が増える可能性がございます。
店頭に技術者がいてるわけではありませんので、一度お預かりにはなりますが私たちがお時計の状態を確認して、その時に行ったことや不明点をお申し付けいただくことで、その内容を元に技術者(メーカー)に依頼をします。
その回答によって、必要な作業や不具合の要因などが明確となります。

実際に私たち店頭の販売員ができることとしては、操作の説明や精度の確認、磁気抜き、洗浄、ブレスレットのコマ調整、ベルト交換などです。
もちろん、さまざまな時計の症状を目にしてきていますので、おおよその目安のご案内もお伝えすることができますので、いつでも気兼ねなくご相談ください。

最後に…

最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。
長々とご案内いたしましたが、他にもご質問などございましたら、下記お問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。
皆様のお役に立てますと幸いです。