皆様こんにちは、森島です。
本日は前回記載させていただきました、ブライトリングの歴史の続きをご紹介致します。
前回は3代目の経営者としてウィリー・ブライトリングが就任したところまででしたので、ウィリー・ブライトリングの功績についてお話していきます。
ウィリー・ブライトリングとクロノグラフ
就任後、まずウィリー・ブライトリングはクロノグラフをゼロにリセットする専用のプッシュボタンを4時位置に取り付けました。
「スタート・ストップ」、「リセット」のそれぞれの役割を持つ2つのプッシュボタンが独立して時計に備えられ、今現代でも使用されているクロノグラフ時計の形が作られました。
1938年、ブライトリングは、信頼性の高いオンボード計器を求める軍用分野と民間航空分野の需要に応えるため、「ユイット・アビエーション部門」を設立しました。
「ユイット」とはフランス語で「8」を意味します。ユイット部門は、計器の8日間という驚異的なパワーリザーブにちなんで名付けられました。
この新しい専門部門は、陸・海・の過酷な条件下で使用される製品の開発、製造、試験を行いました。製品の品質保証のために、ブライトリングは最新の技術を備えた独自の試験研究所を作り、そこにムーブメントを無線で検査するマイクロオシログラフ、-40 ℃から100 ℃の温度範囲に対応したテストシミュレーター、様々な姿勢で計器のストレスをテストする「振動テーブル」などを設置しました。
様々な努力が実を結び、1939年にイギリス空軍からオンボードクロノグラフの大量発注を受け、その他空軍にも使用されることとなり、ブライトリングは世界屈指の航空産業向けサプライヤーになりました。
第二次世界大戦中にウィリー・ブライトリングがイギリスにクロノグラフを引き渡すシーンは、まるでスパイ映画のようでした。ウィリーは、夜間に友人たちと共に近くの牧草地へ何台もの車を走らせました。事前に打ち合わせたシグナルを合図に車が一斉にヘッドライトを点灯し、その照明で飛行機は素早く着陸し、急いで荷物を積み込んで飛び立っていきました。ウィリーはその後、疑惑をそらすために、賑やかなバーに現れ、派手に振舞ってアリバイをアピールしました。
第二次世界大戦ではブライトリングの計器の需要が拡大しました。
ウィリー・ブライトリングはミリタリーテイストのみでブランドが知られている状況を嫌い、ブランドを「目的」から「スタイル」へと変更していきます。
「目的」から「スタイル」へ
ブライトリングは、クロノグラフに採用される革新的な円形対数回転計算尺の特許を取得します。
タキメーター、テレメーター、パルソメーターの機能を備え、乗算、除算、三数法問題、生産計算などを簡単に処理することができ、世界で初めて回転計算尺の機能を持った腕時計「クロノマット」が1942年に誕生します。
回転計算尺と言えば後に登場する「ナビタイマー」のイメージを持たれる方も多くいらっしゃると思いますが、最初にこの機能を搭載したモデルはクロノマットになります。しかし、この当時に誕生したクロノマットは現在高い人気を誇るクロノマットとは一切関係がありません。この当時のクロノマットは「クロノグラフ」+「マテマティック(数学)」を組み合わせた造語になります。
このモデルは機能的なだけでなく、エレガントでスタイリッシュなモデルであった為、スポーツ、産業、技術の専門家たちの間で人気を博しました。
1943年には、スタイリッシュな顧客様向けの個性的な新しいウォッチシリーズ、プレミエ コレクションを開発しました。 スタイル移行する哲学はこのプレミエで実現します。
ブライトリングの新しいコレクションにフランス語の「プレミエ(最初)」という言葉を使ったのは偶然ではありません。目的よりもスタイルを重視し、専門家ではない人々がクロノグラフを「初めて」使用することを意味しています。
1944年にはプレミエシリーズに「デュオグラフ」機能を搭載したモデルを発表。
デュオグラフとはクロノグラフ針が2本備えられており、2つの時間を計測できる非常に複雑なクロノグラフ機能のことです。
翌年の1945年にはプレミエシリーズから「ダトラ」を発表。エレガントでバランスの取れたデザインながら、日付、曜日、ムーンフェイズが読み取ることができます。
激動の1940年代もウィリー・ブライトリングは、ブランドの名声を確立し続けていきました。
常に流行に敏感だったウィリーは、航空業界の変化を当時すでに察知していました。航空産業はすでに軍や政府の独占的分野ではなく、世界では民間とレジャーで航空ブームが起きようとしており、ブライトリングはこれらの分野への参入を狙っていくこととなります。
今回はここまでとなります。
次回は50年代以降のお話となり、今回に続いてウィリー・ブライトリングの功績や、現在も高い人気を誇り今年で70周年を迎えたナビタイマーについてもご紹介致します。
前回ご紹介致しましたPart1の記事も添付しておりますので是非ご覧くださいませ。
ここまでのご精読、誠にありがとうございました。